竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)
種類 | 清臓腑熱剤 |
出典 | 医方集解 |
組成 | 竜胆草6g、黄芩9g、梔子9g、車前子9g、沢瀉12g、木通9g、生地黄9g、当帰3g、柴胡6g、生甘草6g |
メモ | 竜たんは舎監、黄金の車も獅子に託し、芝草を背負って帰る(竜黄芩車木梔沢柴草生帰) 瀉肝火、清利湿熱、補陽肝血(すなわち補肝)で、肝火上炎、湿熱下注の証 |
方解 | 君-竜胆草-大苦大寒、瀉肝胆実火 臣-黄芩-苦寒瀉火 -梔子-苦寒瀉火 佐-車前子-清熱利湿 -沢瀉-清熱利湿 -木通-清熱利湿 -生地黄-滋陰養血 -当帰-滋陰養血 使-柴胡-引経 -生甘草-薬剤調和 |
用法 | 水煎服 |
効能 | 瀉肝胆実火、清下焦湿熱 |
主治 | 肝胆実火の上炎による頭痛、目赤、脇痛、口苦、耳遠い、身腫、あるいは湿熱下注、陰腫、陰痔、筋痿陰汗、小便淋濁、婦人湿熱帯下等。 |
病機 | 肝胆実火の上擾あるいは肝経湿熱の下注による病変。 |
方意 | 主治証は肝胆実火、肝経の湿熱が経絡に沿って、上下を犯していくことによるもの。 上には頭頂、耳目が痛い、あるいは聴力を失う、両脇に影響すると痛みと嘔苦を起こす。 下には厥陰経脈の陰器が腫痛、陰痒を起こす。 湿熱が膀胱に入ると淋痛等の症を起こす。 方中の竜胆草は大苦大寒で、上では肝胆実火を瀉す、下では下焦湿熱を清し、瀉火と除湿を果たす君薬である。 黄芩、山梔子は臣薬として苦寒瀉火の効を持ち、竜胆草を助ける。沢瀉、木通、車前子は清熱利湿で、湿熱を水道から追い出す。 肝は主に蔵血するが、肝経に熱があると陰血を傷つけるので苦寒燥湿の薬を加えたら、いっそう陰を傷つける。 だから生地黄、当帰で滋陰養血を果たし、標本兼治する。 方中の柴胡は、諸薬が肝胆に入るように引薬として用いるわけである。 甘草は調和諸薬の降を果たす。 全方をみると瀉に補があり、利に滋があり、火を降下して熱を除き、湿濁を除去し、経絡に沿って出た諸証はそれぞれ治っていく。 竜胆瀉肝湯、瀉青丸、当帰竜薈丸は共に苦肝で肝経実火を瀉す。 竜胆瀉肝湯は瀉肝火、清利湿熱、補養肝血(すなわち補肝)であり、肝火上炎、湿熱下注の証を治療.する。 瀉青丸は瀉肝火、肝胆鬱火を除き、肝火内鬱の証を治療する。 当帰竜薈丸は大苦大寒の剤であり、主に実火を二便から追い出し、肝経実火の証を治療する。 |
注意 | 本方の薬物はほぼ苦寒の性で、内服すると脾胃を傷つける恐れがあり、脾胃虚寒の者に適当ではない。 あるいは大量に、あるいは長く服用してはいけない。 |