血府逐瘀湯(けっぷちくおとう)
種類 | 活血袪瘀剤 |
出典 | 医林改錯 |
組成 | 桃仁12g、当帰9g、生地黄9g、紅花9g、赤芍6g、枳殻6g、川芎5g、柴胡3g、甘草3g、牛膝9g、桔梗5g |
メモ | ゲプッ、床を敷き千機カゴを積載(血府、当桃生枳川桔甘牛赤柴) 行気止痛 主に胸中の瘀阻の証を治す |
方解 | 桃紅四物湯(活血化瘀、養血)と四逆散(行気和血、舒肝)の上に桔梗、牛膝を加えて組成する。 桔梗-開肺気、寛胸 枳殻-昇降上焦の気、寛胸 牛膝-通利血脈、引血下行 |
用法 | 煎服 |
効能 | 活血祛瘀、行気止痛 |
主治 | 胸中血瘀、血行不暢。 胸痛、頭痛の長く治せず、一定のところを針に刺されたような痛み、あるいは呃逆が長く治せず、あるいは水を飲むと嗆を起こす。 乾嘔、あるいは内熱瞀悶、あるいは心悸怔忡、あるいは寝つけない、あるいは寝つき悪い、あるいは怒りっぽい、あるいは入暮潮熱、あるいは舌質黯紅、舌の周囲に瘀斑がある、あるいは舌の表面に瘀点がある、唇暗あるいは両目暗黒、脈渋あるいは弦緊。 |
病機 | 胸中血府血瘀に肝鬱気滞を兼ねている。 |
方意 | 本方は、「胸中血府血瘀」による諸証を治す方剤で、王清任が考えたものである。 桃紅四物湯と四逆散の上に桔梗、牛膝を加えて組成する。 胸脇は肝経が循行するところである。 瘀血が胸中にあれば気機阻滞になり、肝鬱不舒を起こし、ゆえに胸脇刺痛を現す。 長く治せず、怒りっぽくなる。 瘀久化熱、気鬱化火なので内熱瞀、あるいは心悸失眠、あるいは入暮潮熱を起こす。 上擾清竅であれば頭痛を起こす。 横に胃府を犯したら胃失和降になり、陥嘔厄逆を起こす。 ひいては水を飲むとすなわち瘀を起こす。 唇、目、舌、脈の証については、いずれも瘀血の証である。 だから、治療は活血化瘀で、兼ねて行気解鬱をする。 方中の桃紅四物湯は活血化瘀で養血である。 四逆散は行気和血で舒肝である。 桔梗は肺気を開き、諸薬を上へ行くように導き、枳殻と合わせ上焦の気を昇降して寛胸する。 特に牛膝は通利血脈、引血下行をする。 諸薬は協力して血活気行、瘀化熱消で、肝鬱も解けるようになり、諸証は治る。 近代は、本方の活血化瘀でありながら血を傷つけず、舒肝解鬱でありながら気を消耗しないという特徴を利用し、加減して、冠状動脈硬化性心臓病の狭心症、リュウマチ性心臓病、胸部の打撲傷と肋軟骨炎の胸痛、脳震盪後遺症の頭痛、目眩、精神抑鬱等証を治療し、一定の効果を得ている。 |
注意 | 臨床で応用するときには必ず前述の瘀血のある諸証の場合に使用する。 他の証には適応しない。 |