温経湯(うんけいとう)
種類 | 活血袪瘀剤 |
出典 | 金匱要略 |
組成 | 呉茱萸9g、当帰9g、芍薬6g、川芎6g、人参6g、桂枝6g、阿膠9g、牡丹皮6g、生姜6g、甘草6g、半夏6g、麦門冬9g |
方解 | 君-呉茱萸-温経散寒 -桂枝-温経散寒 臣 -当帰-活血袪瘀、養血調経 -川芎-活血袪瘀、養血調経 -芍薬-活血袪瘀、養血調経 -牡丹皮-袪瘀通絡、退虚熱 佐-阿膠-養陰潤燥、清虚熱 -麦門冬-養陰潤燥、清虚熱 -人参-益気健脾 -甘草-益気健脾 -半夏-通降胃気、散結 -生姜-温胃気、助生化 使-甘草-益気健脾、諸薬調和 |
用法 | 煎服 |
効能 | 温経散寒、袪瘀養血 |
主治 | 衝任虚寒、瘀血阻滞。 漏下不止、生理不順、生理周期の延長あるいは短縮、持続時間の延長あるいは閉経、夕方に発熱、手心煩熱、唇口乾燥、少腹裏急、腹満、あるいは女性の不妊症。 |
方意 | 本方は衝任虚寒、瘀血阻滞によるもを治す。 衝は血海であり、任は胞胎を主とする。 二経はいずれも、小腹から発し、生理と密接な関係を持つ。 衝任虚寒、血凝滞であれば、漏下不止、あるいは生理不順、あるいは小腹冷痛、不妊等を起こす。 瘀血を除かないと新血は生まれない、濡潤不足になり、だから、口唇乾燥を起こす。 気血凝滞、内阻であれば、少腹裏急、腹満を起こす。 夕方発熱、手新煩熱については皆陰血不足によるものである。 証は虚、実、寒、熱を互結するものなので袪瘀法だけでは適さないが、温経散寒と養血袪瘀を併用すべきである。 血が温められると、運行し、血行なれば瘀が除かれ、諸症は治る。 方中の呉茱萸、桂枝は温経散寒、通利血脈で君薬である。 当帰、川芎、芍薬は活血袪瘀、養血調経で、牡丹皮は袪瘀通経かつ退虚熱で共に臣薬である。 阿膠、麦門冬は養陰潤燥、清虚熱で、阿膠は止痛もできる。 人参、甘草は益気健脾で、生血の源を養い、かつ統血の作用を果たす。 衝任二脈はいずれも足陽明胃経につながる。 半夏は通降胃気、散結で、袪瘀調経を助ける。 生姜は温胃気、助生化である。これらは共に佐薬である。 甘草は諸薬を調和し、兼ねて使薬である。 諸薬は協力して温経通脈、養血袪瘀の効を果たす。 すると瘀血は除かれ、新血が生まれ、虚熱は消され、生理順調になり、病は治る。 本方は寒、熱、消、補を併用するが温養衝任を主とする婦人科の常用方である。 主に衝任虚寒の瘀滞の生理不順、生理痛、崩漏等の症を治す。 だから「温経」と称する。 |